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全きヒューマニズム
新しいキリスト教社会の現世的・霊的諸問題
目次
凡例
まえがき
序章 ヒロイズムとヒューマニズム
第1章 ヒューマニズムの悲劇
Ⅰ 中世のキリスト教社会
Ⅱ 古典的ヒューマニズムと人間および自由の二重の問題
Ⅲ 古典的ヒューマニズムと自らの運命に対する被造物の実践的態度
Ⅳ 人間中心的ヒューマニズムの弁証法
第2章 新しいヒューマニズム
Ⅰ ソビエト無神論の根源
Ⅱ 無神論の哲学的問題
Ⅲ ロシア的無神論の文化的意義
Ⅳ 二つのキリスト教的立場
Ⅴ キリスト教文化の新時代
第3章 キリスト信者と世界
Ⅰ 霊的なものと現世的なもの
Ⅱ 神の国の問題
Ⅲ キリスト信者の現世的使命
第4章 新しいキリスト教社会の歴史的理想(1)
Ⅰ 予備的考察
Ⅱ 抽象的に考察した現世的国家
Ⅲ 中世キリスト教社会の歴史的理想
Ⅳ 人間中心的ヒューマニズムの世界における中世の理念の堕落と変質
第5章 新しいキリスト教社会の歴史的理想(2)
Ⅰ 多元主義
Ⅱ 現世的なものの自律
Ⅲ 人格の自由
Ⅳ 社会的人種の統一
Ⅴ 共同の仕事――友愛的共同体の実現
Ⅵ トマス・アクィナスの精神的態度と文化の哲学
第6章 新しいキリスト教社会の歴史的可能性
Ⅰ 内的な次元――社会的なものにおける精神の推進力
Ⅱ 内的な次元――大衆の再統合
Ⅲ 年代的な諸次元
第7章 より近い将来
Ⅰ 政治的活動について
Ⅱ 今日の問題
付論 活動の構造
Ⅰ 〔キリスト信者の活動の区別〕
Ⅱ 〔事例としてのカトリック出版〕
訳者あとがき
索引
まえがき
序章 ヒロイズムとヒューマニズム
第1章 ヒューマニズムの悲劇
Ⅰ 中世のキリスト教社会
Ⅱ 古典的ヒューマニズムと人間および自由の二重の問題
Ⅲ 古典的ヒューマニズムと自らの運命に対する被造物の実践的態度
Ⅳ 人間中心的ヒューマニズムの弁証法
第2章 新しいヒューマニズム
Ⅰ ソビエト無神論の根源
Ⅱ 無神論の哲学的問題
Ⅲ ロシア的無神論の文化的意義
Ⅳ 二つのキリスト教的立場
Ⅴ キリスト教文化の新時代
第3章 キリスト信者と世界
Ⅰ 霊的なものと現世的なもの
Ⅱ 神の国の問題
Ⅲ キリスト信者の現世的使命
第4章 新しいキリスト教社会の歴史的理想(1)
Ⅰ 予備的考察
Ⅱ 抽象的に考察した現世的国家
Ⅲ 中世キリスト教社会の歴史的理想
Ⅳ 人間中心的ヒューマニズムの世界における中世の理念の堕落と変質
第5章 新しいキリスト教社会の歴史的理想(2)
Ⅰ 多元主義
Ⅱ 現世的なものの自律
Ⅲ 人格の自由
Ⅳ 社会的人種の統一
Ⅴ 共同の仕事――友愛的共同体の実現
Ⅵ トマス・アクィナスの精神的態度と文化の哲学
第6章 新しいキリスト教社会の歴史的可能性
Ⅰ 内的な次元――社会的なものにおける精神の推進力
Ⅱ 内的な次元――大衆の再統合
Ⅲ 年代的な諸次元
第7章 より近い将来
Ⅰ 政治的活動について
Ⅱ 今日の問題
付論 活動の構造
Ⅰ 〔キリスト信者の活動の区別〕
Ⅱ 〔事例としてのカトリック出版〕
訳者あとがき
索引
内容説明
資本主義が先鋭化し欲望は膨張を続け,最新鋭の武器を駆使した戦火の絶えない現代,人間を真に人間とする「全きヒューマニズム」はどのように可能か。
フランスの哲学者でカトリック思想の指導者であった著者によれば,超越的なものを排除してヒューマニズムを定義することはできない。本書は,ルネサンス以降近代の人間中心的ヒューマニズムを無神論的であると批判し,中世キリスト教社会における神中心的ヒューマニズムこそ「全きヒューマニズム」であると唱えて,その理念を明らかにする。その上で,キリスト信者は信仰に基づき政治や社会問題にいかにコミットすべきか,キリスト信者以外の人々といかに連帯すべきかを説き,人間の人格の自由,多元主義,友愛的共同体の創設など新しい「キリスト教社会」の歴史的特色を明示する。
本書は,第二次大戦へ突入する前夜,1936年に出版され,左右両翼の全体主義の台頭に翻弄されていた当時のフランスの若者に新しい社会の建設への指針とインスピレーションを与えたが,後にその影響は南米の社会運動へと拡大した。今日,本書が問題とした全体主義の悪夢は新興国を中心に再び頭をもたげ,著者の提言はいまだ有効だと言わざるを得ない。誰もが知るヒューマニズムという言葉の真の意味とは何か。ヒューマニズムに関心のある読者にとって,教科書的理解を越えて,その意味を考える機会となろう。
フランスの哲学者でカトリック思想の指導者であった著者によれば,超越的なものを排除してヒューマニズムを定義することはできない。本書は,ルネサンス以降近代の人間中心的ヒューマニズムを無神論的であると批判し,中世キリスト教社会における神中心的ヒューマニズムこそ「全きヒューマニズム」であると唱えて,その理念を明らかにする。その上で,キリスト信者は信仰に基づき政治や社会問題にいかにコミットすべきか,キリスト信者以外の人々といかに連帯すべきかを説き,人間の人格の自由,多元主義,友愛的共同体の創設など新しい「キリスト教社会」の歴史的特色を明示する。
本書は,第二次大戦へ突入する前夜,1936年に出版され,左右両翼の全体主義の台頭に翻弄されていた当時のフランスの若者に新しい社会の建設への指針とインスピレーションを与えたが,後にその影響は南米の社会運動へと拡大した。今日,本書が問題とした全体主義の悪夢は新興国を中心に再び頭をもたげ,著者の提言はいまだ有効だと言わざるを得ない。誰もが知るヒューマニズムという言葉の真の意味とは何か。ヒューマニズムに関心のある読者にとって,教科書的理解を越えて,その意味を考える機会となろう。