目次
第1章 大学の起源と大学の発展
1 大学の伝統
ボローニャ大学
パリ大学
大学の展開
大学の学修
大学学位
教授
近代科学の黎明
学術アカデミー
騎士アカデミー
自然法の受容
大学の3類型
2 ドイツの大学の伝統
設置大学
宗教改革
領邦大学の乱立
南北格差
絶対君主の大学
ハレ大学の創立
ハレ大学の盛衰
後期啓蒙主義
造営物大学
3 ハンザ都市ゲッティンゲン
独立自由都市
ハンザ商業
商業都市の衰退
イギリス同君連合
産業振興
大学都市への変貌
第2章 ミュンヒハウゼンの大学
1 ゲッティンゲン大学の創立
創立記念式典
ミュンヒハウゼン
大学設置企画案
大学設置準備
最初の授業
皇帝特許状
国王特許状
大学学則
学部細則
2 大学付帯制度
大学裁判権
大学拘禁室――カルツァー
私闘禁止令
信用法
学部意見書作成
解剖堂
自由食卓
大学寡婦・遺児年金
大学薬局
大学ビール・ワインレストラン
アカデミー
図書館
3 都市環境と大学施設の整備
管理委員会
建築ブーム
都市基盤整備
大学施設
私講義教場
第3章 七教授の大学
1 初期立憲主義期の国家と大学
七年戦争
プロイセン改革
ワルトブルクの祭典
カールスバード決議
大学4法
七月革命
ハノーファー憲法紛争
七教授のプロテスト
2 貴族の大学
学生生活
教授の市場
教授陣
哲学部の躍進
プロイセン視察団
教授家計
教養市民層
3 大学都市の市民
市民の職業
大学関連職業
家計構造
ユダヤ人
大学市民
駐屯兵
学生の出自
学生と市民
第4章 ノーベル賞の大学
1 学問の大工場
ビスマルク
三月革命
ドイツの覇権
北ドイツ連邦
ドイツ帝国
工科・商科大学
研究所・ゼミナール制度
ノーベル賞
アルトホーフ
若手研究者育成
重点的学術政策
カイザー・ウィルヘルム協会
ドイツ大学会議
2 数学界・世界の臍
プロイセンの大学
化学の伝統
数学・物理学の伝統
フェリックス・クライン
研究体制の組織化
大学のジェンダ
クラーク博士
大学関連産業
月沈原
3 大学都市の女性達
女性過剰都市
奉公人令
教授家計の奉公人
学生と奉公人
異性としての女性奉公人
助産院
市場の女達
ギネスブックの露天商
第5章 ゲンゼリーゼルの学園都市
1 連邦主義社会の系譜
第二帝国の終焉
ワイマール共和国
ヒトラーの「わが闘争」
大学連合
学生委員会AStA
学生自助互助組織
大学スポーツ
学術助成組織
私講師
学生納付金
大学と政治
学生団体
大学の同質化
分断と統合のドイツ
ドイツとドイツ人
大学の装置産業化
2 大衆化社会の大学
ブンゼン通り
指導者学長
電話は鳴らなかった
バチカンがアメリカへ移った
占領下の大学再開
発言する大学
マスプロ化
学生援護会
学部解体
ドイツ再統一
3 緑の学園都市
ローンス
鉄道の時代
メルケル市長
ゲンゼリーゼル
ナチスの浸透
占領軍直接統治
軍政下の市民生活
難民の流入
住宅・食料問題
仏独和解
10万人都市
街の歩行者ゾーン化
あとがき/参考文献一覧/索引/欧文目次
内容説明
中世における大学誕生から16,17世紀の領邦宗派大学をへて,18世紀の近代大学の勃興を象徴するゲッティンゲン大学は,1737年創立,ドイツ大学の最先端を走りつつノーベル賞受賞者最多を誇る大学となった。
本書は創立の経緯から20世紀の東西ドイツの再統一まで三世紀に及ぶゲッティンゲン大学の歴史を多角的な視点から明らかにした画期的な作品である。
農村都市であったゲッティンゲンに大学を設置するとともに一世紀にわたる大学都市の形成はどのようになされたか。大学史の視角には入らない大学と都市の関係をはじめ,ドイツ史との関連を重視し,大学の生きた姿を描いて,わが国の大学のモデルとなったドイツ大学の実態を考察する。
近代の国家形成と平仄を合わせて展開する近代大学は,司法・行政官の養成を目的としながら,知識と認識を探求し,世代と社会層の枠に捉われず時代と地域を越えた文化と文明との接触を通して体系化を志向しつつ人間と社会と歴史を支える基盤となった。
1970年代の学生の増加に伴い装置産業化した大学が直面する現代的課題を考える上で,大学に関わる人はもとよりドイツ史に関心をもつ読者の必読書となろう。