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近世初期の検地と農民

近世初期の検地と農民
著者 速水 融
ジャンル 歴史 > 日本史
出版年月日 2009/12/30
ISBN 9784862850720
判型・ページ数 A5・354ページ
定価 本体5,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章 検地と近世社会の形成
「近世」の成立/太閤検地論争/検地の目的は?/歴史観/太閤検地の意義―石高制

第一章 近世領主制確立期における浅野氏
序論/浅野家について/秀吉の家臣としての浅野氏/近世領主としての浅野氏/結び

第二章 近世初期の検地と本百姓身分の形成
序論/紀州浅野藩の成立と慶長検地/検地帳の外形的考察/分析――(一)土地/分析――(二)農民関係/結語――近世初期における領主と農民

第三章 近世初期検地の性格と背景
近世初期検地とは/近世領主制の性格と社会的経済的構造/近世初期検地の特質/近世検地の意味するもの

第四章 検地帳登録人をめぐって
序説/検地帳登録人に関する諸学説/問題はどこにあるか?/紀州慶長検地帳登録人についての若干の分析/結び

第五章 紀州慶長検地および検地帳の研究
序/戦国末期紀州の状勢と天正検地/大名浅野氏の性格とその紀州入国/検地帳の検討/検地と近世領主制の確立

第六章 紀州北山地方の検地と一揆
はじめに/検地帳の無屋敷登録人/天正検地帳と慶長検地帳/紀州熊野一揆について/戦国末期の熊野地方/浅野氏入部と検地/一揆の勃発とその経過/北山地方の村落構造/近世初期一揆の性格

第七章 領主の検地帳と村の検地帳
牟婁郡賀田村の検地帳/検地帳の記載様式/史料批判の必要性

第八章 近世初期の家数人数改と役家について
検地帳における問題点/家数人数改に関する諸史料/賦役と役家の性格/近世初期における領主支配の特質

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内容説明

一世紀以上に亙る戦国の混乱をへて姿を現した「近世」とは,兵農分離,外交・貿易権,貨幣鋳造権の独占など,幕府が強力な集権力により全国統治を実現した社会であった。その基礎を支えたのがいわゆる「石高制」である。本書はその制度を実現する手段であった検地の実態とそれが近世領主制確立のために担った役割を明らかにする。
1950年代半ばから60年代にかけて歴史学界では「太閤検地論争」が吹き荒れた。そこでは「太閤検地革命説」「相対的革新説」「事実追認説」の三つの立場から中世史家も交えて激論がかわされたが,明確な結論を見出せないまま終息した。しかしながら転換期における検地のもつ歴史的位置づけは今日なお重要な課題である。著者は当時よりそれら三者の立場とは距離をおきつつ批判的に考察して来た。100冊に及ぶ紀伊国慶長検地帳の分析を通して,年貢をかける土地調査だけではなく賦役負担をする農民数も調査されていたことを発見,近世の家数・人数改めの起源であることを解明して検地の歴史的意義を明らかにする。今日における研究の到達点を示す貴重な業績である。

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